1972年に建造された航海訓練所の練習船 銀河丸2世は、老朽化のため銀河丸3世にその役目を譲り、2004年6月に引退しました。
しかし、同年10月に座礁した海王丸の穴を埋めるべく、12月から「銀河II」として練習船隊に復帰しています。
左の写真をよく見ると、船名や船籍港が書き換えられているのがわかります。
銀河IIは2005年8月12日から17日まで名古屋港に入港し、14日には一般公開が行われました。
私は当日たまたま名古屋にいたので、船内を見学する事にしました。
銀河IIのエンジンです。この写真ではエンジンの一番上の部分だけが見えています。
三菱UEC52/105型
6200馬力(4560kW)
ここは食堂です。
講義にも使われるので一見教室のようです。ちゃんと黒板もあります。
食堂の壁には船内の配管などの図面がたくさん掛けられていました。
士官サロンです。
一応、上等な椅子があり、壁には飾りのランプが付いていたり絵が掛けられていたりしますが、簡素な造りです。
二等航海士居室です。
シャワーやトイレはありませんが、ビジネスホテルのシングルルームに似た1人部屋です。
船長室です。
ここは応接室としても使われる公室で、隣に寝室となる居室があります。
操舵室です。
昔の外輪船では、両舷の外輪の間に橋を渡し、そこを見張り台にしていました。後に、そこへ操舵輪やコンパスを置いて操舵室を作りました。
操舵室をブリッジと呼ぶのはその名残だそうです。
操舵室にある操作盤です。
中央のレバーはエンジンテレグラフで、前進・後進の切り替えや速度の調節をします。
左側はバウスラスターのスイッチです。バウスラスターは出入港時に使う横向きの補助プロペラです。
操舵輪です。
現在の大型船の操舵輪は言わばパワステなので、昔の帆船のような大きな操舵輪はありません。コンパスと連動して針路を自動的に保持するオートパイロットが組み込まれています。
左奥に見えるのはレーダーのモニターです。
操舵室正面中央の窓の所にたくさんの計器が並んでいます。
椰子の実です。
これでデッキを磨く作業を「椰子摺り」と言います。裸足で行うので冬場は特に辛いそうです。
操舵室から右舷側へ出た所です。
銀河IIは建造から30年以上経過した古い船ですが、くたびれた感じは全くありません(設備は旧式かも知れませんが)。きっと、毎日の厳しい船上生活が、この船をいつまでも若々しく保っているのでしょう。
既に17000人を超える船員を世に送り出した銀河IIは、海王丸復帰まで最後の活躍を続けます。
追記
この記事の一般公開は、2005年6月16日から9月2日まで行われた神戸から東京への航海訓練の途中に行われたイベントです。
その後、10月1日から最後の航海訓練が始まり、10月3日東京を出航。12月17日の横浜入港で銀河IIでの航海訓練は全て終了しました。
2006年1月からは海王丸が復帰しています。
(2006.1.24)
その後銀河IIは商船三井に買い取られ、広島県福山市の常石造船で訓練船「SPIRIT
OF MOL」(パナマ船籍)に改造。2007年7月1日に命名式が行われ、7月16日から訓練を開始しています。
(2007.9.29)