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2009年12月11日

【番外】富士川渡船への道 前編

東海道の富士川東岸部分は江戸時代中期に上・中・下の各往還に分かれました。
既に現在の富士川橋に通じる下往還を通って富士川を渡りましたから、
上往還と中往還も見てみましょう。
旧東海道である県道396号がJR身延線と交差する所に柚木駅があります。
ここから西へ160m進んだところに橋下(はしした)交差点があります。

橋下交差点
橋下交差点。右の細い道が上往還と中往還。左の広い道が下往還(富士川橋方面)。

ここは旧東海道(県道396号)と南北方向の道が交差し、
さらに細い道が2本出ている六叉路です。
旧東海道を東から歩いてくると右前方へ分岐する細い道があります。
これが上往還と中往還です。
上往還と中往還は富士川の堤防を越えるまで同じ道です。
道幅は広くありませんがこれでも県道です。

上往還・中往還の始まり
上往還・中往還の始まり。静岡県道176号鷹岡柚木線。

この静岡県道176号鷹岡柚木線は、
身延線柚木駅の3つ先、富士根駅へ通じています。

橋下交差点から420mの所で県道176号は右へ分かれていきますが、
上往還・中往還は直進です。

県道と上往還・中往還の分岐点
県道と上往還・中往還の分岐点

分岐点の近くに常夜灯の残骸らしき物がありました。

常夜灯の残骸
常夜灯の残骸

道なりに進むと堤防が見えてきます。

間もなく雁堤
間もなく雁堤

この堤防は雁堤(かりがねづつみ)といいます。
折れ曲がった形が、雁が連なって飛ぶ姿に似ているためこの名があります。
江戸時代初期に50余年の歳月をかけて築造され、今も現役です。
富士川橋東詰の水神ノ森から上流へ、
直線距離で2km余りの範囲に造られています。

上往還・中往還は上り坂で堤防を越えます。

雁堤への坂
雁堤への坂

坂の始まりに道祖神がありました。

雁堤の手前にある道祖神
雁堤の手前にある道祖神

雁堤の上は道路になっています。
上往還・中往還はこの道を横切って堤防を越えます。

雁堤の上の道路
雁堤の上の道路。奥に見える赤い線は東名高速道路。

雁堤を越えました。この先は農地が広がっています。

雁堤を越えた所
雁堤を越えた所

そして、事前に入手した上往還・中往還の地図と周囲の地形から判断すると、
どうやら堤防を越えてすぐのここが上往還と中往還の分岐点のようです。

上往還と中往還の分岐点
上往還と中往還の分岐点

分岐点から上往還の続く方向を眺めてみました。

上往還
上往還

上往還は前方に見えている東名高速道路の方へ、ほぼまっすぐ続いていました。
この道は畑の中を通り抜けていて、歩いていいものかどうかよくわからないので、
別の道を通ってこの道の先へ行ってみました。

上往還の終点
上往還の終点

上往還をちゃんと歩くと170m程でやや車の通りの多い道にぶつかります。
そこから先は農地で、道はなくなっています。
(農地へ入って行く道はありますが上往還ではないようです)
残念ですが上往還はここで終わりです。

では分岐点に戻って、今度は中往還を歩きましょう。

中往還
中往還

みかん畑や茶畑の中を抜けて行きます。

中往還
中往還

分岐点から250mで、またあの車の多い通りにぶつかります。
そして、中往還もここで終わりです。

中往還の終点
中往還の終点

やはり農地の中へ道は続いています。
しかし、作物の盗難が多いため、この先は農作業者以外立入禁止だそうです。
地図を見ると、現在農地の中を通っている道は、
かつての中往還とは合致しないようです。
中往還はこの写真で見ている方向へまっすぐ続き、
その先に富士川西岸の渡船場がありました。

振り返ったら富士山が見えました。

中往還の終点から見た富士山
中往還の終点から見た富士山

次は下往還の渡船場、下船居の方へ行ってみましょう。

2009年12月11日 06:13 | カテゴリー:東海道スタンプラリー