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2008年3月16日

誰も乗らないのは‥‥

3月15日に行われたJRのダイヤ改正で、
東京-大阪間の寝台急行「銀河」が廃止されました。
この列車の廃止が発表されると、沿線や停車駅には、
最後の姿を記録しようと連日多くの鉄道ファンが繰り出しました。
私も大阪からの帰りに久々に乗車し、
改正前の2週間程の間に東京近辺で何度か撮影しました。

さよならフィーバーが盛り上がり始めた頃、
ウェブ上のニュース配信サイト「イザ!」に
産経新聞提供の「銀河」の記事があるのを見つけたのですが、
読んでいてちょっと気になる所がありました。
その部分を引用します。

JR西日本によると、14日午前10時に始まったラストランの予約受け付けは
わずか30秒で完売。
残り1カ月を切り週末はすでにほぼ満席の状態という。
最後の盛況ぶりに
「『葬式走』ってやつは好きじゃない。
なくなることが決まる前に乗ってくれなきゃ...」
と本音を漏らす鉄道マンも。

遅くて早い魅力...「銀河」廃止間近、"鉄"の列
2008年2月17日21時48分 イザ!

この鉄道マンがどの部署でどういう仕事をしている人なのかは
残念ながら記事中で明らかにされていませんが、
こんな事を言う前に、なぜこうなってしまうのか、
もう少し考えて欲しいと思います。

確かに、「銀河」が廃止されるのは利用者が少ないからです。
では、なぜ利用者が少ないかと言えば、
他の列車やバス、飛行機に比べ、料金が高過ぎて利用しにくいからです。

「のぞみ」の普通車指定席が13,850~14,250円、
「こだま」にツアー扱いで乗車する「ぷらっとこだま」なら
普通車指定席で10,000~11,500円です。
飛行機の正規運賃は2万円を超えますが、
実際は前日までに予約すれば普通席で11,100~14,100円です。
夜行バスの「ドリーム大阪」に至っては、3列シートでも8,610円。
問題の「銀河」はB寝台で何と16,070円です。

一応銀河は新幹線の最終列車より遅く出て一番列車より早く着けますが、
それならホテルで1泊した方がいいと考える人も多いでしょう。

走っている場所は違いますが、「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」など
JRには「銀河」より高い料金を取る寝台列車もあります。
しかしそれらは豪華な設備や食事が受けて連日盛況。
一方「銀河」の設備は30年前のまま。

寝台列車が新車も投入せず料金も下げずに30年過ごしてしまった間に、
夜行バスが普及し、飛行機が安くなり、身内の新幹線もスピードアップして、
とうとう寝台列車は鉄道ファンでさえも敬遠してしまうような
「高くて遅くてボロい」最悪の乗り物になってしまいました。

数が減ってきた夜行列車用の設備を整理して再開発したいJR東日本や、
夜中に名古屋を通り抜ける列車より新幹線に乗って欲しいJR東海の意向など、
色々噂は聞かれ、廃止には複雑な事情があるようです。
しかし、自分たちの手抜きで伝統の夜行急行を潰してしまった失態は棚に上げ、
名残を惜しみ無理して乗っている鉄道ファンに対して「葬式走」とは失敬な!

でも、マナー違反や危険行為、果ては部品泥棒など、
相変わらず馬鹿どもへの対応で余計な仕事が増えているJRの気持ちも
わからないではありません。
私だって、ああいう連中と一緒にされるのが嫌で
3年程鉄道ファンをやめていたんですから。

2008年3月16日 13:58 | カテゴリー:のりもの