2008年3月27日
神の力
大阪市にある「大阪暮らしの今昔館」を見学しました。
この施設は「大阪市立住まい情報センター」というビルの
8階から10階に入っています。
ビルはちょうど商店街の入り口に建っており、
8階から見下ろすと、アーケードがどこまでも続いているのが見えます。
その日私は夕方まで暇だったので、ちょっと歩いてみることにしました。
この商店街は「天神橋商店街」といいます。
後で調べたら、長さ2.6キロメートル、
店舗数600店の日本一長い商店街だそうです。
南北に長い商店街の北の端、地下鉄の天神橋筋六丁目駅の所から
南へ向かって歩いて行きました。
長い長いアーケードを地下鉄で2駅分歩いた先で、大阪天満宮の脇を通ります。
せっかくなのでお参りして行きましょう。
大阪天満宮本殿
しかし、何をお願いしたらいいのでしょう。
今更学業成就でもありません。(むしろ諦めた)
授与所を見ると、安産とか金運とか交通安全とか
色々なお守りを売っているようなので、
基本的には何をお願いしてもいいのでしょう。
だからと言って、旅先でそう都合良く願い事など持ち合わせていません。
だいたい神頼みというものは、まず自分で努力をして、
それでもどうにもならない部分の解決をお願いするものです。
私は今、そこまで困っている事は‥‥
そう言えば今、好きな人との仲が険悪になっています。
もちろん、仲直りできる方法を自分で模索していますが、
ここはひとつ神様にも和解をお願いしておきましょう。
お参りを終えてアーケードに戻りつつ、
お願いをするのは義務ではないのだから、
ただ賽銭箱に小銭を入れて手を合わせるだけでも良かった‥‥
などと考えていたら、重要な事を思い出しました。
高校受験の時、中学の担任の先生がクラスのみんなに代わって
どこかの有名な天神様に合格祈願のお参りに行きました。
もちろん結果は人それぞれでしたが、
無事合格した者は各自近くの天神様にお礼参りに行くように言われました。
しかし、その頃の私はこういう事にいちいち腹を立てていた時期で、
しかも神仏を一切信じなかったため、
志望校に合格したにもかかわらずお参りに行きませんでした。
いくら天神様にお願いしたって実力の及ばない学校には入れません。
私が努力したからこそ入れたのです。
死後、朝廷に数々の祟りをもたらしたという逸話からも想像できますが、
菅原道真という人は結構根に持つタイプのようです。
残念ながら私の高校時代の学校の成績は芳しくありませんでした。
もちろん、私がさらに腹を立てた事は言うまでもありません。
合格は自分の力、成績不振は神の所為とは、
我ながら何とも理不尽なものですね。
ところで、2月25日は天神様のお祭りです。
男の子のいる家庭では、これに合わせて
2月中旬頃から天神様の人形を飾る風習があります。
言わば「男の子のための雛人形」なのですが、
私の住む関東地方ではあまり普及していないようです。
私が天神様と仲が悪いのを面白がって、それを母が出しておいたら、
何かの拍子に私がぶつかって、
首がすっこ抜けて頭がゴミ箱に突入したことがありました。
そんなこんなで私と天神様は昔から相性が悪いのですが、
そんな事はお参りが終わるまですっかり忘れていました。
まあいいです。今更「さっきのお参り取り消し!」なんて言えません。
これを以て勝手に和解とします。
菅原さん、これからは仲良くしましょう。
翌日、私は愛知県の明治村に行きました。
明治村の保存建築物の一つ「宇治山田郵便局」は、
それ自体が展示物であり、内部が展示室であると同時に、
明治村簡易郵便局の局舎でもあります。
私はよくここから友人に手紙を出します。
今回は、天満宮で仲直りをお願いした友人に手紙を書き、
少し遅れましたがホワイトデーのプレゼントを添えて発送しました。
明治村の宇治山田郵便局
数日後、彼女から手紙が届きました。
いつもは忙しいからとメールの返事もなかなかくれない彼女が、
大急ぎで、結構長い手紙を書いてくれました。
読んでみると、プレゼントは受け取りを拒否しようと思ったけど、
もし手紙が入っているなら読むべきだと思い受け取ってくれたようです。
彼女はちゃんと手紙を読んでくれました。
私も手紙を読んで、お互いの誤解が解けました。
これで仲直りです。
うっかり大阪天満宮にお参りしてからわずか1週間。
菅原さん、あんたすごいよ!
(そんな口の利き方しちゃだめだって)
2008年3月16日
誰も乗らないのは‥‥
3月15日に行われたJRのダイヤ改正で、
東京-大阪間の寝台急行「銀河」が廃止されました。
この列車の廃止が発表されると、沿線や停車駅には、
最後の姿を記録しようと連日多くの鉄道ファンが繰り出しました。
私も大阪からの帰りに久々に乗車し、
改正前の2週間程の間に東京近辺で何度か撮影しました。
さよならフィーバーが盛り上がり始めた頃、
ウェブ上のニュース配信サイト「イザ!」に
産経新聞提供の「銀河」の記事があるのを見つけたのですが、
読んでいてちょっと気になる所がありました。
その部分を引用します。
JR西日本によると、14日午前10時に始まったラストランの予約受け付けは
わずか30秒で完売。
残り1カ月を切り週末はすでにほぼ満席の状態という。
最後の盛況ぶりに
「『葬式走』ってやつは好きじゃない。
なくなることが決まる前に乗ってくれなきゃ...」
と本音を漏らす鉄道マンも。
遅くて早い魅力...「銀河」廃止間近、"鉄"の列
2008年2月17日21時48分 イザ!
この鉄道マンがどの部署でどういう仕事をしている人なのかは
残念ながら記事中で明らかにされていませんが、
こんな事を言う前に、なぜこうなってしまうのか、
もう少し考えて欲しいと思います。
確かに、「銀河」が廃止されるのは利用者が少ないからです。
では、なぜ利用者が少ないかと言えば、
他の列車やバス、飛行機に比べ、料金が高過ぎて利用しにくいからです。
「のぞみ」の普通車指定席が13,850~14,250円、
「こだま」にツアー扱いで乗車する「ぷらっとこだま」なら
普通車指定席で10,000~11,500円です。
飛行機の正規運賃は2万円を超えますが、
実際は前日までに予約すれば普通席で11,100~14,100円です。
夜行バスの「ドリーム大阪」に至っては、3列シートでも8,610円。
問題の「銀河」はB寝台で何と16,070円です。
一応銀河は新幹線の最終列車より遅く出て一番列車より早く着けますが、
それならホテルで1泊した方がいいと考える人も多いでしょう。
走っている場所は違いますが、「北斗星」や「トワイライトエクスプレス」など
JRには「銀河」より高い料金を取る寝台列車もあります。
しかしそれらは豪華な設備や食事が受けて連日盛況。
一方「銀河」の設備は30年前のまま。
寝台列車が新車も投入せず料金も下げずに30年過ごしてしまった間に、
夜行バスが普及し、飛行機が安くなり、身内の新幹線もスピードアップして、
とうとう寝台列車は鉄道ファンでさえも敬遠してしまうような
「高くて遅くてボロい」最悪の乗り物になってしまいました。
数が減ってきた夜行列車用の設備を整理して再開発したいJR東日本や、
夜中に名古屋を通り抜ける列車より新幹線に乗って欲しいJR東海の意向など、
色々噂は聞かれ、廃止には複雑な事情があるようです。
しかし、自分たちの手抜きで伝統の夜行急行を潰してしまった失態は棚に上げ、
名残を惜しみ無理して乗っている鉄道ファンに対して「葬式走」とは失敬な!
でも、マナー違反や危険行為、果ては部品泥棒など、
相変わらず馬鹿どもへの対応で余計な仕事が増えているJRの気持ちも
わからないではありません。
私だって、ああいう連中と一緒にされるのが嫌で
3年程鉄道ファンをやめていたんですから。
2008年3月15日
怒鳴っちゃいかん
3月15日はJRのダイヤ改正です。
この改正で私の好きな列車の一つである寝台急行「銀河」が廃止されるので、
最後の姿を記録することにしました。
「銀河」の始発駅は東京駅です。
かつて多くのブルートレインの始発駅だった東京駅は、
昔からホームの先端が立ち入り禁止で、列車の先頭部が撮影できません。
東京を出て最初に停車する品川駅は、向かいのホームから撮影できます。
しかも、そのホームは臨時ホームで、普段は列車の出入りがありません。
しかし、そこから「銀河」が来るホームまでが遠いため、
こちらのホームの照明が「銀河」の車体に十分当たりません。
夜の撮影はちょっと難しいです。
次の停車駅は横浜です。
横浜駅は向かいのホームが近いため、そのホームの明かりで撮影できます。
ホームの先端にも入れる上に、「銀河」の停車位置もホーム中程なので、
無理なく撮影する事ができます。
その次の停車駅は大船ですが、そこまで行くとちょっと遠いので、
私は横浜駅で撮影することにしました。
(もう東京駅では撮ったしね)
「銀河」が横浜駅6番線に到着するのは午後11時25分です。
1時間前に横浜駅に着いたら、もう向かいの7番ホームは
鉄道ファンで埋め尽くされていました。
しかし、うまいことちょうどいい場所に入り込むことができたので、
そこで時間まで待機です。
ホームでは「黄色い線から出ないように」との放送が再三流れています。
ふざけ合う若い子たちを警備員が呼び止めて注意しています。
神奈川県警の警察官まで出てきました。
「銀河」が到着する6番線では、
列車の先頭付近とホーム先端にロープが張られました。
6番線の放送で「銀河」は今日が最終日という説明が流されました。
さあ、いよいよ列車が来ます。
そして飛び交ういつもの怒号。
「おい、そこ下がれよ!」
横浜駅に停車中の「銀河」大阪行き最終列車
どんなに駅員が注意しても、黄色い線より前に出てしまう人がいます。
早くから来て線の内側で待っている人たちから見れば、
そういう人たちが自分の写真に入り込んでしまうのは
非常に腹立たしいことでしょう。
怒鳴りたくなる気持ちもわかります。
しかしその光景は、たまたま居合わせた人々から見ると異様であり、
世間で鉄道ファンの印象が悪い原因の一つになっています。
ルールもマナーも無視の傍若無人な輩を放っておけとまでは言いませんが、
ここは駅です。公共の場所です。イベント会場ではありません。
電車を利用しようとしている人々に不快感を与えてはいけません。
だいたい、そうやって罵声を浴びせるエネルギーがあるなら、
電車の床に座ったり座席に寝そべったりしている連中に
罵声を浴びせる鉄道ファンがいても良さそうなものです。
たまりかねて、結局私も怒鳴ってしまいました。
「気持ちはわかるけど怒鳴るな!」
ええ、もちろん列車とは反対の方を向いて。