2006年3月 4日
横浜の気高き翼
夕刻、赤レンガ倉庫前から横浜駅東口行きのシーバスに乗ると、
煌々と明かりを灯した美しい船に出会います。
レストラン船「ロイヤルウイング」です。
その素敵な外観は美しいばかりでなく、少々謎めいています。
船体は細長く、船尾が尖っています。
船体に引かれた青い線は、端の部分が矢尻のような形になっています。
遊覧船というより、長距離航路の客船のような姿です。
近くで見ると船体の鉄板がごつごつと波打っている部分があり、
何だか古そうな感じでした。
どうも、ただの遊覧船ではないようです。
何か別の用途に使われていた船を改造したのでしょうか。
謎のレストラン船の正体はネット上でわかりました。
この船は関西汽船が大阪・神戸と別府を結ぶ航路に使っていた船でした。
今は、さんふらわあシリーズ4隻で運航されている航路です。
就航した時は「くれない丸」という名前で、1960年から運航開始。
なるほど、私の思った通りです。
1960年代といえば、新婚旅行で九州へ行くのが流行だったそうです。
私の両親も1968年に結婚し、新婚旅行の行き先は九州・沖縄でした。
かつて多くのカップルを乗せて瀬戸内海を行き来したくれない丸、
ロイヤルウイングとなった今は船上で結婚披露宴もできるそうです。
船の一生は人の一生に似ていると言います。
長距離航路の廃止や運航を休止するクルーズ船も珍しくない中、
建造から40年を経た古い船が新天地でひときわ輝いている姿は、
年齢を重ねてもなお魅力を深め続ける大女優と言ったところでしょうか。
アンティークと呼べる程になっても活躍を続けて欲しいものです。
2006年3月 4日 23:38 | カテゴリー:のりもの